- 家庭内別居どういう状態をいうの?
- 家庭内別居だと慰謝料請求できない?
- 主張に備えてやっておくべきことは?
この記事ではこのような疑問、お悩みにお応えします。
のちほど解説しますが、家庭内別居の状態で婚姻関係が破綻していると判断されると、その後の不倫(不貞)に対しては慰謝料を請求することができません。
そのため、配偶者や不倫相手に慰謝料請求する際、「家庭内別居だから慰謝料を支払う必要はない」などと主張されることがあります。
そこで、この記事では、そもそも家庭内別居とはどういう状態のことをいうのか、家庭内別居と慰謝料請求との関係はどうなるのか、家庭内別居の主張にはどう備えておけばいいのか、といった疑問について解説していきたいと思います。
家庭内別居とはどういう状態?
家庭内別居に関する明確な定義はありません。ただ、一般的には、同居はしているものの、離婚寸前のような夫婦関係が悪化しているにもかかわらず同居を継続している状態のことをいうようです。
より具体的には、以下にあげる事情が複数重なり、かつ、その状態が一定期間継続している場合にはじめて家庭内別居と判断されやすくなります。
- 寝室が別
- 食事が別
- 洗濯が別
- 一緒に外出しない
- 旅行に行っていない
- 性交渉がない
- 生活費を別にしている
- 会話がない
- 離婚に向けた行動をとっている
単に「数日間、数週間、会話をしていない」、「毎日、喧嘩ばかりしていて顔もあわせていない」というだけでは家庭内別居とはいえません。
家庭内別居だと慰謝料は発生しない?
仮に、前述した基準から家庭内別居であることが確定的となった場合、それはすなわち婚姻関係が破綻しているということを意味します。そして、婚姻関係が破綻している場合、破綻後の不倫に対しては慰謝料請求することができません。破綻後の不倫(不貞)に対して慰謝料請求することができない理由については、以下の記事で詳しく解説しています。
家庭内別居を主張されても慰謝料請求できる場合
配偶者や不倫相手に家庭内別居を主張されても慌てる必要はありません。主張されても家庭内別居であることが確定したわけではありません。以下では、家庭内別居を主張されても、こんな場合は慰謝料請求できるというケースをピックアップしてみました。
家庭内別居前から不倫されていた場合
まず、家庭内別居前から不倫されていた場合です。
たとえ、家庭内別居が確定したとしても、それ以前の不倫に対しては慰謝料請求することができます。家庭内別居前は婚姻関係が破綻していたとはいえないからです。
家庭内別居を主張された場合は、相手に、不倫の時期、家庭内別居になった時期とその両者の前後関係を明らかにしてもらう必要があります。ただし、時効には注意が必要です。
婚姻関係が破綻したとはいえない場合
次に、婚姻関係が破綻したとはいえない場合です。
前述のとおり、家庭内別居は婚姻関係を破綻していることを意味しますから、婚姻関係が破綻したとはいえない場合は家庭内別居とはいえず、その間の不倫に対しては慰謝料請求することが可能です。いかなる場合に婚姻関係が破綻していると判断されやすくなるのかは、以下の記事で解説しています。
家庭内別居の主張に対する備え
家庭内別居に対する備えは、何より同居を継続すること(別居しないこと)です(※ただし、DVを受けているなど生命・身体に危害が及ぶ可能性が高い場合は身の安全を確保することが最優先です。)。同居している限り、家庭内別居(あるいは、婚姻関係が破綻した)とは認められにくいですし、その証明も容易ではありません。
同居中の婚姻関係破綻の事情として、よく「家庭内別居」であったことを主張し、その状態での不倫だから違法ではないと主張してくる場合があります。
しかし、たとえ寝室が別で、夫婦生活もなくても、同居中に家庭内別居での婚姻関係破綻が認められることはほとんどありません。— 離婚弁護士 東京 (@rikon__bengoshi) October 14, 2021
また、同居中は、
■ 寝室を別にしない
■ 食事を別にしない
■ 洗濯を別にしない
■ 一緒に外出する
■ 性交渉に応じる
■ 生活費を別にしない
■ 会話をとざさない
など、できる限りのことは意識してやっておき、日記をつけたり、写真・動画に撮るなどして証拠を集めておきましょう。配偶者や浮気相手から家庭内別居の主張された場合の反論する武器として使えます。
さらに、配偶者から離婚を切り出されても、話し合いに応じない、離婚意思はないことを明確に伝える、離婚届にサインしない、家庭内別居の合意書にサインしないことも必要です。 これらと真逆なことをしてしまうと家庭内別居を疑われてしまう可能性があるからです。
家庭内別居の状態であることは、それを主張する相手に証明する責任があります。仮に、主張されても慌てず、家庭内別居であることをきちんと証明することができるのか問いただしてみるとよいでしょう。